Project Story02
SaaSの可能性を拡張
するカスタマイズ開発。楽楽販売導入プロジェクト
- Client
- 株式会社サイバー・バズ様

Introduction
「インフルエンサーサービス」「SNSアカウント運用」「インターネット広告販売」などSNSマーケティングを提供する株式会社サイバー・バズは、2019年に東証グロース市場に上場した成長企業。手がけるビジネスの特殊性から、これまでは独自の販売管理システムを利用していた同社ですが、企業規模の拡大に伴いSaaSプロダクトの導入を決定されました。そこに至るまでには、どのような経緯があったのか。数多いSaaSのなかで楽楽販売を選んだのはなぜか。導入後はどんな効果を実感しているか――。同社情報システム部の佐々木空氏と、プロジェクトの主担当として指揮を執られた販売管理部の小山俊祐氏にお話を伺いました。
Speakerこの記事に登場する人

佐々木 空 氏Sasaki Taka
株式会社サイバー・バズ
テクノロジー・クリエイティブ本部 執行役員

小山 俊祐 氏Koyama Syunsaku
株式会社サイバー・バズ
経営推進本部 経営推進局 販売管理G

齊藤 幸司Saito Kouji
株式会社ウエルストーン DATA DESIGN LABO事業部 事業部長

原田 茂Harada Shigeru
株式会社ウエルストーン
DATA DESIGN LABO事業部
Chapter 01
組織の成長に合わせたシステムへ。

- 齊藤
-
本日はお時間をいただきありがとうございます。SaaSの導入支援という領域において、サイバー・バズ様へのご支援は弊社としてもチャレンジングかつ象徴的なプロジェクトでした。そこで今回、こうしてインタビューの機会をいただきました。まずは前提の整理も兼ねて、ご依頼いただくまでの経緯を伺えたらと思います。
- 佐々木
-
よろしくお願いします。導入に至った経緯はいくつかあるのですが、当社ではもともと、自社で内製した販売管理システムを使っていました。その独自システムに関して「もっと使いやすくできるのではないか?」という声が、社内でも上がっていたんです。また、2019年には株式上場を果たすなど、企業規模も拡大しつづけていて。組織の成長速度に、システムが追いついていない実情もありました。加えて、インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正への対応も必要になり、さまざまな要素が重なって楽楽販売の導入を決めました。
- 齊藤
-
ありがとうございます。上場企業となると尚更、システムの安定性や社会的な信用性への要求が高まりますよね。その点、導入企業が多く、サービスとして確立されたSaaSプロダクトは、自社独自のシステムと比べて、セキュリティーや保証体制の充実度がメリットになりますね。
- 佐々木
-
まさに、そこへの期待は大きかったです。内製したシステムの場合、「どんなプロセスで開発されたシステムなのか?不正ができない仕組みになっているか?」ということを、すべて自分たちで保証しなければなりません。一方、SaaSという、すでに出来上がっているサービスを活用することで、安全性や信用性のベースをある程度クリアできることに価値を感じました。反対に、出来合いのサービスを使うことにより、事業の柔軟性・可変性が損なわれてしまうのではないかという懸念もありました。
- 小山
-
そのバランスが難しかったですね。上場企業の基幹システムとして耐えうるしっかりした基盤と、カスタマイズのしやすさや拡張性。いくつか他のサービスも検討した結果、両方をバランス良く兼ね備えているのが楽楽販売だと判断しました。とはいえ、おそらく当社の場合、“カスタマイズ”にかかる比重と期待が相当大きく、いろいろとご苦労もかけたのではないかと思います。
- 齊藤
-
とんでもございません。ただ、確かに楽楽販売の導入プロジェクトのなかでも、大規模かつ要件の複雑な案件ではありました。本プロジェクトは楽楽販売の販売元であるラクス社から依頼を受けましたが、弊社のこれまでの導入支援実績を評価いただいてのことだと思います。難易度の高い案件ということもあり、弊社内の楽楽販売開発の第一人者である原田に担当を任せました。
Chapter 02
楽楽販売の限界に挑む。

- 原田
-
プロジェクトが始まる際に、貴社の役員の方から言われたのが「元の内製システムは一切参考にせずに、まったく新しいものをつくってほしい」ということでした。その言葉から、ただ単にシステムを新しくするのではなく、本気で業務と組織の改善に取り組もうとされているのだと感じました。予備知識や先入観を持たずに、まず取り掛かったのが要件定義です。サイバー・バズ社の事業、組織のことや、一つひとつの業務について理解するためにヒアリングを行い、求められる要件を紐解いていきました。ただ、理解が深まるにつれて見えてきたのは「これは、一筋縄ではいかないぞ…」ということでしたね(笑)。
- 小山
-
そうなんですよ。販売管理システムの刷新における一番の障壁は、当社のビジネスの特殊性だったと思います。私たちが手がけているのは、デジタル広告の運用やインフルエンサーマーケティングの事業です。デジタル広告の仕組みは“特殊性”の最たるもので、販売管理システムとの相性がとても悪い。これは、どうしようもないことでした。
- 佐々木
-
デジタル領域の広告によく見られる運用型の広告は、テレビCMや電車の中吊り広告のように1枠あたりの金額が決まっているわけではなく、広告の表示頻度や成果によって金額が変動します。つまり、受注が確定しても売上金額は確定しない。広告効果が芳しくないときは追加施策を行うこともあり、とにかくお金の変動が多いのです。特に当社は、顧客の成果にコミットするために、できうる限り柔軟に対応しますから、見積書一つ、請求書一つとっても、完全なフォーマット化が難しいのです。「この場合、請求書はどうつくればいいの…?」といった質問を社内でもよく聞きます。イレギュラーが多発する、システム泣かせのビジネススタイルなのかもしれません。
- 小山
-
そんな広告運用ビジネス特有のイレギュラーに、なんとか対応できる仕組みをつくれないだろうか…ということで、原田さんには、すごくお知恵を絞っていただきました。そうして、もともと楽楽販売には存在しない『明細編集』という機能を実装できたことが、今回のプロジェクトのハイライトではないでしょうか。これによって、受注確定後の金額や契約期間の変更にも対応できる柔軟さが備わりました。もしも『明細編集』の機能が実現できていなければ、楽楽販売の導入自体、見送っていたと思います。
- 原田
-
みなさんのご協力のおかげで、なんとか形になりました。計算ロジックが想像以上に複雑で、苦労しましたよね。業務系の話とシステム系の話を行ったり来たりしながら、何度も打ち合わせをして。現在は、無事に運用ができているとのことで本当によかったです。私としては、楽楽販売の限界を超えるような挑戦でありつつ、こういう拡張の仕方もできるのか、と可能性を感じられた出来事でもありました。
Chapter 03
「そこまでやってくれるんだ」と驚きました。

- 小山
-
今回導入いただいた楽楽販売のシステムは、私たち販売管理部門が使うのはもちろんですが、営業部門も使えば、経理や法務などバックオフィス系の部門も使う、全社横断的なシステムになりました。ゆえに関わる人員が増えて、開発規模も大きくなりましたが、根気よく向き合っていただけてありがたかったです。
- 原田
-
社内の取りまとめをしていただく小山さんのご負担も相当だったと思います。多部門にまたがる部分の実装をする際には、各部署のリーダーの方にお時間をいただき、多いときは10名ぐらいにヒアリングを実施しましたよね。これまで、いくつもの企業で楽楽販売の導入を支援してきましたが、ここまでの規模感のものはありませんでした。通常、楽楽販売の導入支援は3〜6ヶ月で完了するところ、貴社の支援プロジェクトは9ヶ月間。それでも、開発規模を考えるとギリギリの強行スケジュールでした。
- 佐々木
-
法改正の関係で2024年10月にローンチする必要があり、弊社としては、そこだけはどうしても譲れないところだったんです。無茶を言ってしまって申し訳なかったなと…。
- 原田
-
譲れない目標があったからこそチームがまとまって、なんとかやりきれた部分もありましたね。また、このスピード感を実現できるのが楽楽販売の強みでもあって、SaaSプロダクトとして優秀だなと思います。楽楽販売の長所の一つは、デモをさくっとつくってしまえるところです。「言葉で説明してもなかなか理解しづらく、結局は使ってみないと分からない」といったときに、すぐに現物をつくってお見せできる。それに対してみなさんにご意見をいただきながら、高速で試行錯誤できたことが大きかったです。
- 小山
-
10月のローンチに向けて、プロトタイプがひとまず出来上がったのが6月頃でしたかね。そこから、導入に向けた社内テスト、社員へのトレーニングを実施して、現場からの意見を吸い上げ、またブラッシュアップして…。膨大な件数のデータ移行まで含めて、終盤の2ヶ月は、てんやわんやでしたね。最後の1ヶ月なんて、原田さん常駐してくれたじゃないですか。「あ、そこまでしてくれるんだ」って驚いたんですよ。
- 齊藤
-
常駐に関してはイレギュラーな対応ではありますが、原田からの提案でした。「残りのスケジュールを考えても、ご訪問して直接コミュニケーションをとったほうがスムーズに行くのではないか」と。『型にハマったビジネスをするのではなく、状況に応じて柔軟な対応をする――』これはサイバー・バズさんの文化だと伺いましたが、私たちも大切にしているスタンスです。
- 原田
-
受け入れ態勢を整えていただくのも大変だったと思うのですが、専用のデスクとモニターまで用意していただいて、本当にありがたかったです。実際、それで一気に事が進みましたよね。
- 小山
-
おかげさまで、なんとか10月のローンチに漕ぎ着けました。運用開始後も、どうしても不具合は発生するので気が抜けませんが、何かあればすぐにSlackで原田さんに相談して、迅速に対応いただける体制を維持してもらっているので安心しています。
Chapter 04
さまざまな面で生産性向上を実感。

- 齊藤
-
楽楽販売を導入してみて、効果を感じられていることや、実際に成果が出たことはありますか?
- 小山
-
営業部のメンバーからは、いろんな部分で業務効率化を実感しているという声が上がってきていますね。例えば、以前のシステムには申込書の作成ツールがなく、案件ごとに手作業で申込書を作成していました。マスターデータが社内に分散していたり、手作業なのでケアレスミスも起こったりで、書類の不備をチェックする販売管理部門の工数も増えていましたが、今は時間短縮とミス削減を実現できています。また、部下から上司への確認や承認のフローをボタン一つで完了できるようになったことも、業務効率化につながっていると思います。
- 齊藤
-
なるほど、現場の社員さんの業務工数を減らすだけでなく、管理部門や管理職社員の負担を軽減できることは、会社全体の生産性に大きく寄与しますよね。
- 小山
-
あとは個人的なことになりますが、販売管理部門で、毎月末に納品処理というタスクを抱えていて、これが大変なんです。運用型広告のビジネスモデル的に、月末になるまで金額が確定しないことが多く、締め作業がどうしてもギリギリになってしまいます。だからといって、作業を遅らせるわけにもいきません。私のあとには経理部門の処理が控えていて、もし経理の処理が遅れてしまえば、会社としての情報開示が遅れてしまうことになるからです。
- 原田
-
月初3営業日だけは声もかけられないぐらい忙しそうにされていましたよね。
- 小山
-
そうなんです…。ただ、それもだいぶ改善されてきました。これまで手作業が多かった部分が自動化されてきていますし、原田さんには、現在進行形で新しい機能の実装を進めてもらっているので、どんどん良くなってきています。だいたい月に数百件の納品件数があって、これまでは、その一つひとつの処理に数十秒はかかっていましたから、現時点でも4〜5時間くらいの業務圧縮につながっていますね。
- 佐々木
-
情報システム部としても嬉しいことがありました。実はこのあいだ、ITのシステム監査がありまして、そこで楽楽販売を導入したメリットを実感しました。具体的に感じた良い点は、データのエクスポートや、ログを残す仕組みが一通り備わっているところです。監査の視点で、残しておくべきデータを適切に保存しておくことと、そのデータを簡単に取り出せること。また、「ここにも追加で証跡が必要ではないか?」「ではこのタイミングでメールを飛ばすようにしよう」といったカスタマイズが容易にできること。柔軟かつ堅実なシステムであることを改めて感じ、監査を受ける上でも心強かったです。導入後のカスタマイズがしやすいからこそ、情報システム部として、社内のさまざまな要望に応えていけそうだという期待も高まっています。
Chapter 05
システム活用の想像が膨らんでいく。

- 齊藤
-
今後も継続してご支援をさせていただけたらと思いますが、貴社としてのこれからの展望や、当社へのご要望などはございますか?
- 佐々木
-
今回のプロジェクトで、業務が滞りなく回るシステムは構築することができました。ただ、外部システムや、当社が使っている他のSaaSプロダクトとの連携は、まだまだこれから。今後の目標を挙げるとすれば、横の連携や展開を強化することではないかと思います。
- 小山
-
楽楽販売に蓄積されるデータって、会社の経営に関する数字そのものなので、いろんなところに上手く活用できるといいですよね。最終的には、楽楽販売というシステムが会社のコアとして、他のさまざまなシステムとのハブになって、企業成長を推進してくれる存在になってほしいですね。
- 佐々木
-
私のなかでは、楽楽販売をフル活用したら、今までやりたかった様々なことができるんじゃないか?と想像が膨らんでいます。アイデアはいくつかありますが、一つひとつ実現していきたいですね。ウエルストーンさんには、引き続き技術面でサポートいただけたらと思っています。
- 原田
-
もちろんです。すでにみなさん、システムの仕様や性能をかなり理解していらっしゃって、応用的な使い方をどんどん見出されているので、ご意見、ご要望、どしどしいただければと思います。私はさらに技術を磨きながら、みなさんの想像を形にしていきます。
- 齊藤
-
今回、楽楽販売の導入プロジェクトでお取引を開始させていただきましたが、弊社としては販売管理という一分野だけでなく、より広い視野、高い視点で貴社のビジネスに貢献できればと思っております。どんなことでもご相談ください。
- 佐々木
-
ありがとうございます。それでは“柔軟に”、頼らせていただきます(笑)。
※2025年2月時点の情報をもとにした記事です
