Project Story01

データドリブン経営の
実現に寄り添う。情シス総合支援プロジェクト

Client
八千代エンジニヤリング株式会社
八千代エンジニヤリング株式会社

Introduction

総合建設コンサルタントとして、さまざまな社会インフラを手がける八千代エンジニヤリング株式会社。同社とウエルストーンは、2022年に資本業務提携を締結。2社の協業により、建設コンサルティングとITを掛け合わせた新たな価値の創出を見据えています。そうした事業共創とともに進めているのが、同社の社内DX化です。現在、ウエルストーンからエンジニアチームを派遣し、同社情報システム課の総合的なサポートを実施しています。今回お話を伺ったのは、情報システム課長の佐々木正樹氏。DXプロジェクト発足の経緯や、具体的な取り組み内容、実感している成果などについて、ざっくばらんに語っていただきました。

Speakerこの記事に登場する人

佐々木 正樹 氏Sasaki Masaki

八千代エンジニヤリング
株式会社
技術管理本部 情報技術部 
情報システム課 課長

西田 興史 氏Nishida Okifumi

株式会社ウエルストーン
取締役 / IS事業部長

金澤 拓也 氏Kanazawa Takuya

株式会社ウエルストーン
IS事業部 
グループ事業推進部

Chapter 01

脱サイロ化へ。
ウエルストーンへの大きな期待。

西田

ウエルストーンがDX支援を開始したのは2023年のことでしたが、八千代エンジニヤリング社内では2021年頃から、DX化に向けた取り組みが始まっていたと伺っています。まずは、その必要性を感じられた経緯や、抱えていた課題について改めて教えてください。

佐々木

どこの企業にもある話だとは思うんですが、一言で言えば、柔軟性に欠けるレガシーシステムを使い続けていたんです。でも、それは結果としてそうなったということで、決して怠けていたわけではなく。企業の数十年の歴史のなかで、社内に新しい仕組みやシステムが生まれ、それぞれに改善や工夫を重ねていった結果でした。あらゆる社内システムが独立して個別最適化され、システム間の連携が取れていませんでした。

西田

いわゆるサイロ化(※)という状態ですよね。

※サイロ化:企業内の部門やシステムが孤立して連携が不十分な状態。業務効率や生産性の低下、意思決定の遅れなどの原因となる。

佐々木

まさにそうですね。各部署の業務プロセスやシステムのなかに同じ機能が重複していたり、部門をまたいだ情報共有がしづらく、頻繁にミーティングを開く必要があったり。それから、独立したシステムを一つひとつメンテナンスしなければならないのも、情報システム課としては、相当な手間に感じていました。その頃、弊社は事業成長のさらなる加速を目指して「データドリブンな経営」を掲げはじめたタイミングでしたが、データを活かした経営をしようにも、そもそもデータの収集さえ困難な状況でした。

西田

データドリブンな経営基盤を確立するために、まずはデータベース統合化の必要性を感じられたわけですね。

佐々木

はい。バラバラのシステムを統合したデータベースの構築が最重要ミッションでした。ただ、情報システム課のメイン業務としては日々のシステム保守などもありますから、単純に手が回っていなかったんです。課題の洗い出しや情報の棚卸しといった、DX化への下準備だけでも数年が経ってしまいました。そんな折、ウエルストーン社との資本業務提携は願ってもない好機だと思いましたね。ITに強い人たちが味方になってくれるぞ!と。

西田

そうだったんですね。ちなみに、DX化の取り組みは経営層からの指示で立ち上がったものだったんですか?

佐々木

その逆なんです。コンサルタント企業ならではの文化なのか、社員一人ひとりが「自分たちで業務改善していこう」という意識がすごく強いんですよ。じつは改善案もたくさん上がってきていました。ただ、それを情報システム課として受け止めきれていませんでした。ある種、私たち情報システム課が事業推進のボトルネックになっていて、歯がゆい思いもありました。だからこそ、ウエルストーン社への期待が大きかったんです。

Chapter 02

変革の土台を整えていく。

金澤

2023年5月に、まずは私が1人でプロジェクトに参画させていただきました。「データベースの統合」という大きな目標があるなかで、最初にお手伝いしたのがワークフローシステムの刷新でしたね。

佐々木

どういう協業の仕方ができるんだろう、というのが見えない部分もあったので、「金澤さん、ひとまずクラウドワークフローの導入を手伝ってもらえませんか?」と、まずはお互いにお試しという感じでしたよね。ただ私としては、そこですごく手応えを感じました。データドリブンな会社になっていくための第一歩を、このプロジェクトからやっと踏み出せたのではないか、と。

金澤

今回は社内の稟議や業務フローを管理できるノーコードツールのようなものを活用しました。ノーコードなので誰でも簡単にワークフローを作成できますし、社員のみなさんも業務効率化を実感しやすいものだったと思います。ただし、普通に導入しただけでは、作成したワークフローのデータは、そのシステムの中にとどまってしまい、元々の課題である「部門やシステムをまたいだ連携」はできません。そこで、システム間でデータや機能を共有するためにAPI連携のI/F構築まで実施しました。

佐々木

「便利になったね。仕事が楽になったね」で終わってしまっては、本当のDXとは言えませんよね。一つの業務を効率化させるだけでなく、そこからいかに経営改善に繋げていくか、新しい価値を生み出せるかにこだわっていきたい。ウエルストーン社に参画してもらい、API連携や、データベースへのテコ入れができるようになったことで、意味のあるDXを実現するための土台が整っていきました。導入してから1年以上が経って、かなり社内に浸透してきたと思います。各部署でワークフローの作成方法をレクチャーしていただいたので、立ち上がりもスムーズでした。これまでは私たち情報システム課に依頼がきていたワークフロー作成を、社員が自分たちでつくれるようになったので、全社的に効率が上がっていますね。

金澤

クラウドワークフローの導入プロジェクトを皮切りに、この1〜2年の間にさまざまな取り組みが進みましたよね。

佐々木

早々に手応えを感じられたこともあり、ウエルストーン社と協業していくイメージも湧いて、次々といろんなものをお願いしてしまっています。社内に30以上もある業務管理システムの保守運用や、データ分析基盤の構築。それから、生成AIをカスタマイズして弊社の業態にあわせたチャットボットをつくっていただいたり。金澤さんに頼りきりで、正直、無茶振りみたいなこともあったんじゃないでしょうか…。特に、現在も開発中のプロセス文書管理システムなんかは、すっかりお任せしてしまい申し訳ないなと。そんななかでも、世の中のトレンドや業界の動向、他社の成功事例などを加味しながら柔軟に提案いただき、とても有意義にプロジェクトが進んでいると思います。

金澤

私たちとしても楽しみな案件です。適切にプロセス文書管理がなされることによって、たとえば一つの売上データの裏側にある受注から納品までのストーリーや、人の動きが可視化されたり、今まで分断・分散されていた情報にアクセスしやすくなったり。効果がわかりやすいシステムだと思うので、どんな変化が起こるのか注目しています。また、React.js、Node.js、Material-UIなどのトレンド技術を用いた開発ができていることもメンバーの刺激になっています。

Chapter 03

DXって、なかなか泥臭いものですね。

佐々木

データベースの統合という大目標に向けて難所になるのは、やはり人事、会計、法務などの規模の大きな基幹系システムの刷新ですよね。一つひとつ、クリアしていかなければなりません。先行して着手した人事システムの改修には約1年かかりました。みなさんの負担も大きかったんじゃないでしょうか。

金澤

これまでで一番時間がかかった案件でしたね。1300人超の社員さん全員に紐づいた人事システムを刷新するためには、膨大な人事関連業務を洗い出す必要がありますし、さまざまな部門との調整も必要になります。まずは人事システムと、そこにまつわる業務の全体像を把握するだけでも、壮大なパズルを解いているような感覚でした。毎週2時間の打ち合わせを約1年つづけて、ようやく形になりましたね。

佐々木

システムを刷新する際に、ユーザーからよく言われるのが「今までできていたことを、そのままできるようにしてほしい」ということです。もちろんその気持ちは理解できるんですが、それだとやっぱり、本当のDXにならない。システムを新しくするだけじゃなく、業務改善も実現してこそのDXだと思います。金澤さんには、複雑な業務フローの見直しも含めて、本当に粘り強く対応していただきました。

金澤

業務を棚卸しして俯瞰すると、見えてくるものがありますよね。ここの作業って、じつは無駄だったんじゃないか?こことここは繋げるんじゃないか?と。外部の人間だからこそ、気づけた部分もあったかもしれないですね。

佐々木

省ける業務、統合できる業務、新たに追加すべき業務。八千代エンジニヤリング自身も把握できてない、ある種ブラックボックス化されていた部分まで明らかにしてもらって、自分たちを省みるいい機会になりましたね。それから、先ほどコンサルタント企業ならではのボトムアップ文化の話をした通り、社内からは、情報システム課だけでは捌ききれない量の業務改善ニーズが上がってきていました。それら一つひとつに対して、技術的根拠を示しながら「できる・できない」の選別をし、できない場合は代案を提示していただきました。そのおかげで、社員一人ひとりにとって納得感のあるDX推進ができていると思います。しかしDXって、なかなかに泥臭いものですね(笑)。

西田

本当にそうですね。だからこそ、旗振り役となる人がいて、しっかりプロジェクトを推進していかないと頓挫してしまいます。知識や技術よりも大事なのは、熱意や根気なのかもしれません。

Chapter 04

安心と信頼を生む、チームの力。

西田

まだまだプロジェクト進行中ですが、ウエルストーンの業務や支援体制について何かお気づきのこと、お困りのことはないですか?または、評価いただいている点があればお聞きしたいです。

佐々木

今のところ追加要望や困りごとはありません。本当に(笑)。評価って言うと偉そうになってしまいますが、素晴らしいなと思うのは、ウエルストーンのみなさんって仲が良いですよね。チームの雰囲気がすごく良くないですか?当初は金澤さん一人だったところから、今では10名近い体制に増員いただいていますが、人が増えてもずっと安定している印象があります。SESという業務の性質上、人の入れ替わりもありますし、このプロジェクトで初めて一緒に仕事する人も多いと思うんですよ。だけどみなさん、すっと入ってすぐに馴染んでいますし、私たちが介入しなくても勝手に業務が回っている。新しく入った方への情報共有や、技術伝承もしっかりされている。弊社としては、ものすごく管理コストが浮いていますよ。きっと西田さんや金澤さんが、適切なチームビルディングとリソースマネジメントをしてくれているからでしょうね。

西田

私なんて、特に何もやってないんですよ。たまにリソースの調整をしたり、お見積りをお出ししているぐらいで。きっと金澤が現場で上手くやってくれているんでしょう。

佐々木

いやいや、そうは言いますけど、このあいだお話しした時に、一人ひとりのメンバーのことまで詳しく把握してるもんだから、関心しちゃいましたよ。チャットで頻繁に連携を取っていたり、月に一度、1on1ミーティングもされているんですよね。そういう仕組みがあって、みなさんで情報共有できていることが私たちとしては安心ですし、信頼しています。

西田

ありがとうございます。いつも意識しているのは、チーム全体としていかにクオリティを担保できるか、ということですね。システムやソリューションを提供しているとはいえ、やはり人が資本だと思うので、情報共有を密にして、しっかりコミュニケーションを取ることを大事にしています。

佐々木

私の勝手なイメージですが、ITエンジニアって個人の能力差が大きいと思うんです。技術力の高いスーパースターみたいな人もいますよね。でも、私たちはそういうスーパーエンジニアを求めてはいません。その人が抜けるとクオリティを維持できない状況は健全ではないですよね。特に、弊社が手がけているのは社会インフラに関わる事業ですから、会社のシステムにも長期的な安定稼働が求められます。だからこそ、長くお付き合いできるパートナーが必要なんです。大事なのは個ではなく、全体として「高品質」を提供していただけること。一人のスーパーエンジニアより、安定したチームのほうが、価値が高いと思います。

Chapter 05

見えてきた変革の兆し。変化に強い企業体質へ。

金澤

これも、まだまだこれから見えてくることかと思うんですが、今回のプロジェクトを通して、どんな良い影響や成果が生まれていきそうでしょうか。また、すでに実感されている効果などがあれば教えてください。こういう話って、現場のエンジニアにも励みになると思うんです。もちろん私にとっても。

佐々木

やっぱり一番期待している成果としては、経営判断が早く、正確になるということでしょうね。今回のデータベース統合プロジェクトで目指しているのは、簡単に言えばヒト・モノ・カネのデータを可視化してリアルタイムでキャッチできるようになることです。それが実現すれば、企業経営に与えるインパクトは相当大きいですよ。それから経営層だけじゃなく、社内のあらゆる判断も早くなっていく。従業員1300名超の会社ですから、その一つひとつの変化が合わさると、会社全体がものすごく加速していくんじゃないでしょうか。

金澤

すでに効果を感じられている部分もありますか?

佐々木

ありますね。一部門ごとにシステム刷新が進んできて、続々と、社内のいろんな情報にアクセスできるようになっていますからね。「情報の見える化」を実現できただけでなく、リアルタイムで会社の“今”が見えることに価値があります。以前は、一つの情報を取得したり、一つの承認を得るために時間がかかることも珍しくなかったんです。

金澤

それはすごくもったいないですよね。その間、ビジネスは停止してしまうわけですから。

佐々木

そうですね。世の中の変化のスピードが速いので、取り残されていってしまうんじゃないかと危機感を持っていました。会社の仕組みやルールも、その変化にあわせてアップデートしていくべきものだと思うんですけど、これまでのレガシーシステムではそれも難しかった。けれど今回、ウエルストーン社に支援いただいて、どんどん身軽になっている実感があります。会社の未来を考えると、早いうちに体質改善ができたことに何より価値があると思いますね。変化に強い会社になっていく兆しが見えました。そのための一番大変な部分、変化の初動を支えていただいたことに感謝しています。

西田

そう言っていただけると本当にありがたいです。私たちとしては、ただシステムを提供するのではなく、八千代さんの生産性向上、その先の業績向上に貢献したい。そして、世の中への影響力が大きな社会インフラ事業を推進することで、社会貢献の一端を担えたらと思っています。今後もぜひ、お手伝いさせてください。それから、チャレンジングな案件や、新しい技術分野の案件をいろいろと任せていただいていることも、ありがたく思っています。弊社の実績にもなりますしね(笑)。その実績を他のプロジェクトにも展開して成果を上げ、その成果をまた八千代さんに還元していく、というサイクルができると良いのかなと思っています。

佐々木

つまり、どんどん無茶振りしていいってことですね(笑)

金澤

もちろんです!佐々木さんをはじめ、情報システム課のみなさんの苦労はいつも間近で見ていますから、私たちにできることはなんでもやりますよ。みなさんの負担を少しでも減らしたい、楽になってもらいたいというのがエンジニアチームの総意です。私たちも、情報システム課の一員のつもりでいますから、何でも頼ってください。

佐々木

頼もしいです。データベース統合という大きな目標達成はそう遠くないですが、むしろ、本当に大事なのはその先ですよね。蓄積されていくデータを、事業推進にどう活かしていくのか...。お力添えいただきたいことは、これからも増え続けると思います。今後とも、末ながくお付き合いいただけると嬉しいです。

※2025年2月時点の情報をもとにした記事です

八千代エンジニヤリング株式会社

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